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こんな私が [想い出いろいろ]

60年間生きてきて、一番辛かった時はいつだっただろう。


あの時も、この時も、立ち上がることなんかできないと思った。

明日に進むことが辛くて苦しくて、このまま生きて行くことに意味を見出せない時もあった。

心の傷から流れるのは、失望の暗闇と怒りと落胆と渦巻く自分を責める思い。

世界のどんなものもそれを癒すことなんてできないと思っていた。

いつまで・・・いつまで続くんだろうと、心をかがめながら吹き荒れる嵐をやり過ごそうとしていた日々。

                                    




そんな出来事があったのに、その後どうやって過ごして、今こんな風に笑ったり楽しんだり喜んだりしながら日々を過ごせているんだろう。



時々、思い出しては胸が痛むときや涙が溢れる時もあるけれど、それでも、消す事など出来ないそれらの出来事の一つひとつが、こんなに愛しく感謝に変えられるなんて・・・・あの時しゃがみこんで苦しみながら時を過ごしていた私に教えてあげたい。


いや、そうじゃない。

教えなくて良い。知らなくて良かった。

あの暗黒の中を苦しみながら通って良かった。

もし、そうじゃなかったら・・・もし苦しまなかったら・・・もし明日を生きることさえ受け入れられないほどの痛みの中を通らなかったら・・・。


私は、私の人生の本当の意味と喜びを知ることができなかった。

もしそうではなかったら、私は、あり得ないことに、自分がどんなに愛されて愛おしまれて、かけがえのないものとして生かされているかを知らなかった。

苦しみと痛みの大きさを覆いつくす愛があることも知らなかった。

怒りや傷や自責の思いが、深ければ深いほど、そんな私が赦されて愛されているということの驚くべき奇跡を悟ることはなかった。


折に触れて、あの頃のことごとを思い出す。

いつも新しく強く深く胸を満たす思い。

それは



 私が神の子とされた

 罪人の私が

 


主よ。

こんな私が・・・。



雲の飛び石.jpg


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