１０月は黄昏の…

連休が終わるとすっかり秋である。
もう１０月の黄昏の国も半分を過ぎた。

冷たい風が吹いてくると、北国の冬支度に思いは飛んで行く。
やがて厳しい冬がやってくる。
この季節を過ごすために、万端整えなくてはならない。

いまは関西に住んでいるから、冬を迎えると言っても衣替えとか、暖房の入れ替えをささっとすれば、後は心配もないと言っていい。あの、長い長い暗く厳しく静かな冬を過ごすために、一つ一つの手順を踏んで、冬支度を整えて行く手間はない。

それでも、この季節になると、北の国に思いは引き寄せられる。

この地の人々の明るさとおおらかさとポジティブシンキングと
あの地の人々の静かさと真面目さと忍耐強さと……。

気候だけではないだろうが、それがもたらす違いはやはり大きいと思う。

私は、北国育ちの両親（山形と北海道）の元で育ち
岡山、北海道、茨城、山形と転々としたが
関西に来て一番長い時を過ごしている。

それでも、からだの奥に染み付いた北の人間の血が、この季節を落ち着かなく過ごさせる。